私たちが何かをしているときの体の様子がモニターできたら、何らかの体の異常の予兆をつかむことができ、
また体に負荷をかけているような時にも負荷が過大になることを防ぐことができるはずです。
それにより、もし何かが起きても後遺症の発生を最小限にとどめ、
人のQOL(Quality of Life)を落とすことがなくなれば、PPKの観点からも望ましいことです。
私たち自身、2009年に槍ヶ岳に登ってみて、自分の脈拍数の変化を見るチャンスがありました。
当時、ふもとの槍沢の小屋で器具(パルスオキシメータ?)を借り、実際に装着して頂上に挑みました。
以下の図がその結果です。
これに、自分の普段の体調を勘案すれば、少し休みなさいとかアドバイスすることは現実的だと思います。
ただ、この時、一つ閉口したことがあります。
山に登られる方はご存知だと思いますが、山では登山者と出くわすと、
必ずと言っていいほど“こんにちは”とあいさつを交わします。
当時、指先にパルスオキシメータをつけていたためか、
よく、“こんにちは、ところでそれなに?”という言葉が続きました。
また、昔、品川に勤務している時、帰りの電車の中でぐっすり寝てしまい遠くまで行ってしまったことが多く
耳に入る目覚まし時計をしていたことがあります。
この目覚まし時計はとても便利だったのですが、時々友人たちから、
“おまえ補聴器やってんの?耳まで悪くなったか?”とかよく言われました。
仮に、体のなにかを測定するときも、いかにも何かが悪くなって測定しているとは
周りの人に知られたくないものだと思います。
これらの事情から、デバイス、システムとして備えなければならないものとして、
“Unobtrusiveness”という言葉を必須としました。
これは、not easily noticed (Longman American Dictionary) ということで、
自分でも身に着けていることが気にならないし、
ほかの人からもそれと気づかれないようなことを意味します。
センサは色々なものが開発されており、体にセンサを付けることは容易です。
しかし、それが長く使えるためには、Unobtrusiveなものが必須であると考えています。
従いまして、私たち、Salustekが開発し、設計するデバイスは、
できる限りUnobtrusiveなものであることを目指します。
これを最初に用いたのは私たちではなく、IEEEのPhoenix Projectです。
24時間血圧を測るような機器の開発をしており、この言葉を用いていました。
http://tc-ieee.org/StudyGroups/Phoenix/tabid/112/Default.aspx
私たちはこの言葉と思想に共感し、この言葉を大切にしていこうと思います。